小池たかしの寝言 『 奇跡のリフティング 』その③

１０回までに落とせば、シゴキが待っている
恐怖のリフティングテスト。

Ｓは必死でボールを追っかけます。

ボールは、はるか向こうに飛んで行ってます。

『アアこりゃー無理だ。届かん。かわいそーに』
とみんなが見てる前で、Ｓは追いつきボールを蹴り上げます。

その高さ２０ｍは越えて、はるか向こうに。

Ｓはキック力だけはありました。

『よ――ん』

『ごぉ――』

『ろく――』

Ｓはグランドの中を右に左に走り回ります。

『これはリフティングといえるんか？』

先輩も含めて全員で、いつまで続くか見ていると

『きゅ――』

バンッと蹴ったタマは、校舎の裏側の植木の方へ。

Ｓもグランドを抜けて、校舎の方へ走って行きます。

僕らも見に行くと、なんと植木の中へ
突っ込んで行き、スライディング！

かろうじて、足先に１０回目がポンとあたりました！

『オオ―――ッ』　全員、拍手！パチパチパチ。

ボクは今だかって、あんなリフティングを
見た事はありません……。